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制作日誌2001
3.1/2001
「数3・C超特急〜基礎編」の収録開始。ボクの分の10講は4月の初めまでに撮り終えてしまうのだ。(そのあと暇だぞ)
本日の収録は「第1講 数列の極限」と「第2講 関数の極限」。無事に終了。この辺は定義が次々に出てくるところだから(例。無限級数、弧度法などなど)話すことが決まってるので楽なんだな。
透過式のスーパー(画面下に公式などが出るでしょ。アレ)は後ろから式を指させるから面白い。
扇形の面積公式を導くのに、扇形を放射線状に切って組み直して長方形にするところをコンピューターグラフィックスで見せたり、
の「解析概論」流の図示(各辺を2倍しておくのがミソ)をコンピューターグラフィックスで見せたり、相変わらずやりたい放題。(^^)
-------- さて、この講座の大きな特徴は「短期間(3ヶ月弱)に数3・C全部を終わらせてしまう」と言うこと。なにしろ、90分ラ10講で数3全部と数Cの2次曲線・行列を扱うんだからね。数3だけなら8講なので2ヶ月で済む。
だから、1学期に見る生徒は、サッサと数3・数Cの基本的な受験勉強を終えてしまって、夏休みからは志望校のレベルに合わせて本格的な入試対策を始めることが出来る。
2学期になってようやく受験勉強に本腰を入れ始めるノンビリくんも、10講分のビデオを見てくれればいいのだから、本気になったら2週間で終わってしまう。
いやぁ、すごいですね。(自分で言ってる)
ホントにそんな講座作れるのか・・・とボクも思ってましたが(笑)、二つの条件「10講に納める」と「この講座は基礎編であり応用編は他にある」を考えれば、自ずと方針は定まった。
・数3の計算技法をメインに話す。
・テキストに添付の復習用のチェックテストは、今までより分量をグッと増やす。計算力を身につけるには、とにかく練習!(大事な問題はテキストと重複しててもチェックテストに敢えて入れちゃう)
・基本事項は、入試に必ず要ることは話す。知らなくても困らない可能性が高いことは省略。
例えば、「合成関数の微分法
」は説明するときも、その証明はしないでおこうと決心した。これだけでも授業時間が5分は節約だぜ。
普通の講師なら良心が痛みそうだが(爆)、どうせそんな証明は入試には出ない。高校の教科書の合成関数の微分法の証明は誤魔化しているところがあるから(注)、大学入試でそんな証明を受験生に書かせるはずがないのだ。
他にも思い切ったこと(キレてるとも言う( ̄ー ̄))を考えております。お楽しみに。
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(注) 高校の教科書では合成関数の微分法を、たいてい、次のように証明している; uがxで微分可能で、yがuで微分可能とするとき、
となり、
において
ここで実は怪しいのは、(2)。 この問題を避けるのは容易で、技巧的ではあるが、(2)を次のように直せばよい;
(2-2)の右辺に こうしておいて
になる。これで合成関数の微分法がチャンと証明できた。 高校の教科書が前述のような誤魔化し気味の証明を採用しているのは、数3は基本となる「極限」自体が直感的な扱いをしているので、合成関数の微分法も直感的にわかればよいという理由なのだと思う。 ボクもそれには賛成である。だから、自分の授業の中で(2-1)、(2-2)のような話をすることはない。(^^ゞ 「直感に訴えるだけで良いなら、合成関数の証明に全く触れないで授業することも可能ではないか」というのが、今回のボクの授業の方針なのだ。 (注終わり) 3.29/2001 |
3.8/2001
第3講「微分法の計算」、第4講「微分法の応用(1)」を収録。
「積の微分法の公式
」はちゃんと証明。入試で聞かれることが多いからね。(先週書いた方針通りでしょ)
ただし、証明に必要な「微分可能な関数は連続」(注)って話はサラッと言及しただけ。この証明で重要なのは「関数が微分可能なら連続」って知っているという事ではなく、この事は明かではないと思う感覚なのだ。(と思う)
(注)微分可能な関数は連続
「f(x)がx=aで連続」とは、
(・・・A)が成り立つこと。
「f(x)がx=aで微分可能」とは、が収束する(・・・B)
ということ。そして、その収束する値をと表す。
(B)が成り立てば、
=
より、
![]()
となり(A)が導かれる。
つまり、「
において、
が微分可能ならば連続」である。(注終り)
証明の中で「これに言及しなければいけないな」とわかれば、「関数が微分可能なら連続」と書いても良し、そう書かずにキチンと導いても良し(簡単!)、好きなようにすればよい。
関数の連続性がメインテーマの入試問題は少ないし出題する大学もレベルが高いから、基礎編で「関数の連続性」について話すのはやめた。(やっぱり方針通り) そういう問題は応用編でやってくれると思いますです。ハイ。
「商の微分法の公式」も証明は略。この証明は積の微分法に比べたら入試で聞かれる可能性は低いので。(方針通り。(^^ゞ)
「合成関数の微分法の公式」の証明は、もちろん、やりませんでした。先週書いたように、入試でこの証明(教科書にある証明は欠陥がある)を受験生にわざわざ書かせるはずがないからです。そんな入試問題を見たことありませんもの。
第5講「微分法の応用(2)」、第6講「積分の計算」を収録。
第5講のテーマは、
- 媒介変数表示の微分法
![]()
- 方程式の実数解の個数
- 不等式の証明
- 「ロピタルの定理」
盛りだくさんですねぇ。(^^)
媒介変数表示の微分法は、もちろん、証明なし。合成関数の微分法を証明しないんだから当然です。
「方程式の実数解の個数」で取り上げた問題は、問題の最後に「必要ならば、
を用いてよい」という注釈の付く(アリガチ!)ものでした。
「この注釈の内容を証明するのは大変ですよ。誘導をつけて国公立の2次レベルですよ」って話を振って、後半のロピタルの定理につなげたのでした。「ロピタルの定理を使えば簡単に示せますね」って感じで。
ロピタルの定理のチャンとした証明は、教養部の解析の教科書を見るか、webでなら名大の服部先生の講義録( 数学基礎1(前期)講義録(pdfファイル)のp13)をお読み下さい。
ロピタルの定理とは・・・
「が微分可能で
![]()
であって、しかも、
が収束すれば、
(★)
が成立する」
というもの。極限の計算では非常に便利なのだ。授業では証明せずに“気持ち”をコンピューターグラフィックで見せた。
ただし、この定理は論述式の答案に書かれていると不快に思う教官もいるので、計算チェックに使うにとどめておくのがよいのだけどね。
受験生にはさらに注意しておきたいが、この定理は便利だが決して万能ではない。例えば、
なんてのを計算するのにロピタルを使ったら却って計算が面倒だ。こんなのは、
のように求めるのだ。
(注)
も
も基本的な公式。
「
![]()
」の部分は「
![]()
」 でも構いません。証明はチョット難しくなる。これも服部先生の講義録を見られたし。こちらの方はコンピューターグラフィックでは“気持ち”が見せにくいのが残念だった。来年の課題にしましょう。
--------
もう少しロピタルについて書きましょう。
「
が収束すれば」という条件は大切で、これが成立しないときは(★)は成立しない。例えば、
![]()
とすると、
は収束せずに振動しているが、
は収束している。
ところが、
が収束しなくても無限大に発散している場合は
も無限大に発散するので(★)は成立することになる。このことは“無限大”を“負の無限大”に変えても同様である。あぁ、ややこしい。(^^;)
この辺のこともあるから、高校生に詳しくロピタルの定理について解説するのは不可能だ。「だから高校生が使ってはいけない」という先生が多いのだろうな。
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しかし、大学入試を受けるのは高校生だけではないだろう? 既に大学をいったん卒業した人だって受けるはずだ。そういう人は教養部で勉強しているのだからロピタルを使うのは全然OKじゃないか。
答案用紙を見て高校生なのか大学を既に出た人間かわかるはずもない。それなのに一概にロピタルを使わせないという意見は不可解だ。
だいたい、受験生がどれほど教科の内容を理解したうえで解答しているというのだろう? ロピタルだけ妙に使用を制限してしまうのは解せない。
ロピタルの定理を使わせたくないなら、かつての岐阜薬科大学のように「使いたければ証明してから用いるように」という一言を問題文につければいいのである(証明するより、ロピタルなど使わずに解く方が遙かに早い問題だった)。あるいは、ロピタルの使いにくい問題を出せば済むことである。
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入試問題では「
」のような極限が解答の中で必要になるにもかかわらず問題文に明記されてないと言うこともたまに起こる。単に何かの手違いなんだろうけど。
こういう時に受験生がそこで悩んでしまうより、ロピタルでさっと導けてしまう方がいいではないか。それで答案を完成させるのと、高校の教科書の範囲の知識にこだわって答案が出来ないのでは大違いだ。
これもボクが受験生にロピタルの定理を教えてしまう理由だ。(と割り切れるようになったのは最近のことなのだが)
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とはいえ、「
」に関しては授業の中で「ロピタルを使わなかったらこんな風に証明するのだよ。難しいね」って話をちゃんとしたのだ。それも指数関数のグラフの接線を用いた“e”の定義に基づいてね。(テーラー展開じゃないよ)
こうやって自分の心のバランスを取っていると思ってください。(爆)