7.5/1998 11.好きを貫く才能 今日の夕方から、うちの予備校が文化講演会をおこなった。ある国立大学の教授(バリバリの一流です)を招いて浪人を相手にたっぷり話して貰った。数学の先生なんだけど、ものすごく面白い。地元の国立大学の数学科に行きたくて、一旦そこの農学部に入りながら受験し直した話。大学院の入試で70点中30点が合格ラインなのに18点しかとれず、翌年もう一度受け直して19点にアップした話。受験生に大受けでした。
やっぱり、受験勉強が出来るのと、学者で大成するのは別のものですね。 ところで、そこの大学院は私が受けたときは60点中10点が合格ラインと言われ、私は10点(推定)でした。「19点/70点で不合格」と「10点/60点で合格」というのは、矛盾してませんか?
大きな体、大きな字、大きな声、「私は数学が大好きなんだ」という情熱がヒシヒシと伝わってきました。その声の大きさは若いときはもっと凄かったらしく、予備校でアルバイトしていた時に隣家から「うるさい」と苦情を受けたそうです。
「窓を開けて、マイクでしゃべるな」
「窓は閉めてるし、マイクは使ってません」「好きこそものの上手なれ」というけど、この先生は大学の教職に就いたのは30才近くになってからだそうです。「自分がものになるのかどうか、不安はあったけど、アルバイトをして生活費を稼いで大学院でがんばった」という一言は、重かったなぁ。数学の大学院なんかにいると、こういう不安は誰だって持つだろう。
大学を出てそのまま就職している奴がそろそろ企業の中堅どころとなろうとしているときに、自分は定職がない状態なんだから、「辛いなぁ」と思うのが当然なのだ。それを克服して、「好きな学問だから、がんばるのだ」と意志を貫くのは、受験の学力などとは比べものにならぬ才能だと思う。それを、浪人達はわかってくれたかなぁ。
「助手になれたとき、500万円貯めていました。これは自慢です」
「それを、海外に研究に行く資金に使おうと思いました。それで全部使いました」
「数学は体力です」
「『ちょっとやってみよう』が創造の始まりです」元気を分けて貰ったような講演会でした。満足満足。
************************** 一つ面白い定理を教えて貰いました。フランスの高校の先生が70年代に発見したんだそうです。
「ちょっとやってみようで、見つけたんでしょう」 定理。nを正の整数とする。座標空間で(0,0,0)、(n,n,0)、(n,0,n)、(0,n,n)を頂点とする4面体の周及び内部にある格子点の個数は
(n^3 + 3n^2 + 5n + 3)/3 個。 同じ四面体の内部にある格子点の個数は、上の式の偶数次の符号を変えて、
(n^3 - 3n^2 + 5n - 3)/3 個。 当然、色々拡張できるんだそうです。模試のネタだぁ。(^^)v
当然なのだ:☆8.20/1998追記。日本の「修士2年の後、博士3年」と言う大学院制度は、戦後に英語の原文(占領軍の指示かな)を文部省の官僚が訳したときに「修士2年と博士3年を並列して置く」と言う文章を誤訳したものだという説があるそうだ。(宇沢弘文「日本の教育を考える」(岩波新書)p.222)
自分が研究者としてモノになるかどうか判らないのに、22〜27才の5年間を定職無しで学生として過ごさなければいけないなんていう大学院は、やはりおかしいぞ。それが、下らない誤訳のせいかもしれないとは(-_-;) (back)
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