音信の途絶えていた昔の知り合いに、思いもよらず出くわすという事がある.そういう再会は4通りに場合分けされる.
それはさておき、自分がかつて作った問題に意外なところで今年再会した.
その問題は「東大オープン」という東大志望者向けの模試の会議で数年前に作ったもので、面白い問題なのに結局採用されなかったものだ.
具体的には1次変換に関するこんな問題だ;
「2行2列の行列A、Bがあり、ABとBAはどちらも直線x=1を直線y=1に移すとする.このとき、AB=BA となることを示せ.」
(会議の時には、しばしば、阿佐田哲也クラスの強烈な睡魔に襲われることがあるが、その合間を縫って私はちゃんと仕事をしているのだ.)
一見して難問とわかるし、実際、高校の数学の範囲で解こうとすると「AとBを成分で表して解く(!)」という力任せの解答になる.
ところが、大学の教養部程度の知識である「detAB = detBA,trAB = trBA」を用いれば瞬間的に証明できてしまうところが面白いと思う.
直線x=1を直線y=1に移す一次変換を表す行列は
という形でしょ。この形の行列は tr=a,det= -b で一意に決まるもんね。
高校の数学の内容が一変し、1次変換は無くなってしまった.当然この問題がどこかで使われる可能性は完全に消滅した...と思っていたら、今年の東大オープンの旧課程生用の問題として(少し手直しされたうえで)採用されたのだ.
何年も前に作った問題が数年後に採用されるなどという話は今まで聞いたことがないから、実に驚いた.
今年を逃したら、1次変換の問題が出題されることは今後20年は無いだろうから、本当に運の強い問題である.
(この問題と解説は「河合塾入試予想問題集 東京大学 数学」(河合出版刊)の来年度版に載るはずなので、興味があればご覧下さい)
「再会」の4つの場合とは、
1.お互いに覚えている.
2.こちらは向こうを覚えているが、向こうがこちらを覚えていない.
3.向こうはこちらを覚えているが、こちらが向こうを覚えていない.
4.お互いに覚えていない.
の4つである.
この中で最も頻度が高いのは、3ないし4であると断言できる.
「人間全体で考えれば2と3は全く同数のはず」という反論には、「謙虚に己を省りみれば誰でも自分は物忘れがひどいと判断するはずだから、当然2より3が多い」と言わせていただく.
「4はそもそも再会にならない」という反論にも、私はまことに的確な再反論を用意しているので、早速披露すると、さっそく、く、...zzz、zzz、zz